武本拓也
『山を見にきた』
そこにいるとはどういう事か。そうした問題意識のもと、ただそこにいるという上演を観客の有無に関わらず、毎日繰り返し行っている武本拓也による新作。これまで作品を発表してきた中で一番広いスペースとなるゲーテ・インスティトゥート東京の講堂を舞台に、武本の身体を纏う空間とそこにある全ての事象を体感する、自身の全神経が研ぎ澄まされる1時間。
公演日時
10/26 Tue 19:00
10/27 Wed 19:00
開場は開演の30分前
上演時間:約60分
会 場
ゲーテ・インスティトゥート東京
5歳から入場可
屋上から見える風景は、向こうの山とつながっている。
巨大な空気が、その隔たりを埋めている。
はるか遠くの山のきわに、この目の先が通り着く。
小さく立っている、螺旋階段の貯水塔。
貯水塔は本当は小さくなんかないのだ。
階段を登る人がいる。
その人と私とが、同じ空気でつながっている。
一直線。ひと連なり。
その人は、そのことを知っているのか。
その人が吸う息は、私が吸うのと同じのか。
隔てるもののなにひとつない、この隔たり。
かーん、と乾いた、音が景色を打つ。
✳︎✳︎✳︎
舞台に現れ、耳を澄まし、ゆっくりと、一歩踏み出す。 「私」が何かをするのではなく、「私」と「あなた」の間にあるのでもなく、私もあなたも消していって、そこであらわれるギリギリの小さい一点。在るのでも消えるのでもないその一点へ。 この世界を──というよりも、目の前のもの。目の前の事が、世界に繋がっている──それを見るための場所として、上演をやっている。
出演:武本拓也
照明:小駒豪
音響/音楽:大谷能生
舞台監督:河内崇
宣伝美術:鈴木健太
図版:吉原航平
照明設営:春田幹人(AIR POWER SUPPLY CO.,LTD.)
協力: 岡野昌代
対象年齢について
私の公演は全編に渡ってほぼ無音です。今回、室内での上演である事を鑑み、年齢制限を5歳と設定しました。
5歳という年齢について。
私は首くくり栲象(くびくくりたくぞう)さんという方に表現の事を教わりました。栲象さんは、毎日ご自宅の庭で首を吊るという「行為」をされていた方です。
栲象さんはご自身のその表現について、こう仰った事がありました。
「ダンサーは5歳とかの小さい頃から訓練を続けて表現をしている。俺の表現は大人になってから始めたものだ。だけど小さい頃から続けている事は誰にだってあるはずだ。だから俺は、5歳の頃の自分に顔向けできるのか、という気持ちでやっているんだ。」
私は今の上演を大人になってから始め、今日まで続ける中で、この言葉を何度も繰り返してきました。
5歳という年齢は、たまたまそう言われただけかもしれません。
ですが私自身の指針の一つとなっている言葉として、この度は少なくとも5歳の方から見ていただきたい、と思います。
5歳の時からずっと続いていくもの。続いてきたもの。その垂直に連なる時間の層を、この上演でもご覧いただけたら幸いです。
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関連トークイベントのお知らせ
PORT: Performance or Theory #2「身体と上演、時代の『端』で」
日時:2021年11月10日(水)
第一部 14:30-17:00 / 第二部 17:30-20:00 (入退室自由)
第一部 :
ポストトーク : ハラサオリ『Da Dad Dada』/ 武本拓也『山を見にきた』
登壇者:武本拓也、ハラサオリ
ゲスト:大谷能生
第二部 : クロストーク : ハラサオリ×武本拓也 – 身体と上演、時代の『端』で
登壇者:武本拓也、ハラサオリ、小林勇輝、たくみちゃん、三野新
会場:ANB Tokyo 7階 or オンライン配信
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主催:PORT
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京【スタートアップ助成】