TopProgramハラサオリ『Da Dad Dada』

Program

ハラサオリ
『Da Dad Dada』

1960年代にミュージカルダンサーとして活躍した実父、原健にまつわるリサーチをベースに、「不在」をテーマとして制作したセルフドキュメント・パフォーマンス。
2017年ドイツ初演。ハラの活動が注目を浴びるきっかけとなった意欲作のリクリエーション。
公演日時
10/30 Sat 18:00
10/31 Sun 15:00
ロビー開場は開演の30分前
客席開場は開演の15分前
上演時間:約60分
会 場
草月ホール
※年齢制限なし。但し、途中入退場不可。
 本作『Da Dad Dada』 (ダダッドダダ)は、1960年代にミュージカルダンサーとして活躍した私の父、原健(はらけん)にまつわるリサーチをベースに、「不在」をテーマとして制作したセルフドキュメント・パフォーマンスである。

昭和の高度経済成長期、華やかな時代の一端を担った一人のダンサー、原健。私は彼と血の繋がった親子関係にありながら、生まれた頃からほとんど接触のないまま長い年月を過ごしていた。2015年、私達は20年ぶりに再会するも、その直後に彼は急逝してしまう。この死別をきっかけに、私は父親ではなくダンサーとしての原健に興味を持ち、本作のためのリサーチを開始した。

 1964年、日本がアジアで初めてのオリンピック開催国となった年、原健は日本初のカラーフィルムによる和製ミュージカル映画『アスファルト・ガール』に出演している。この映画の中で端役ながら輝かしく踊る彼の姿は、ダンサー、原健を私が確認できる唯一の資料である。映画のタイトルにある「アスファルト」という語は、戦後の焼け野原が舗装され急速に都市化していく様子を象徴し、スクリーンに映し出される硬質な街の風景は、華々しく復興を果たした1964年当時の日本の活気をうかがわせる。

そして今年、新型コロナウィルスの影響による1年の延期を経て、二度目の東京オリンピックが開催された。奇しくも私は原健と同じ33歳で東京オリンピックを迎えることになったわけだが、そんな因縁や、そもそもの血縁があったにも関わらず、結局私と原健は家族としての信頼関係を築くことなく死に別れてしまった。しかし、もとより”父親”として不在であり続けた彼が、その死によって永遠の<不在>となって以来、私は彼の<存在>をようやく実感するようになったのだ。

 本作『Da Dad Dada』は、個人のドラマを再現する作品ではない。それは「私的な問題を作品のメディウムとして対象化し、編集・再構成したもの」でなくてはならない。この客体化を強調した声明は、個人の身体をメディウムとして社会へ介入するというアーティストとしての意志表明であると同時に、上演を通して「縁」という呪縛から解放されたいという極めて私的な願いの裏返しなのかもしれない。
 不在のもたらす様々な両犠牲を、現存する身体として語る。その方法を私はいまも問い続けている。

演出・構成・出演:ハラサオリ(原沙織)
声の出演:原健

舞台装置:阿部真理亜、女屋理音、鈴木春香、鈴木夢生、遠井公輝、中村瑞乃、望月寛斗、吉﨑裕哉
音楽:ハラサオリ、クリストフ・シャルル
映像:ハラサオリ

衣裳:富永美夏
衣装サポート:KAHORI FURUKAWA
照明:岡野昌代(PICOLER)
音響:牛川紀政
映像テクニカルサポート:須藤崇規
舞台監督:原口佳子、清水義幸
演出部:杉田健介
アンダースタディ:西澤真耶
制作:武田侑子
制作アシスタント:梅原徹
スペシャルサンクス:山川冬樹、矢野優、木村珠子、平木希奈

引用:『アスファルト・ガール』© KADOKAWA 1964 / 大映東京撮影所製作(振付:ロッド・アレキサンダー)

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関連トークイベントのお知らせ

PORT: Performance or Theory #2「身体と上演、時代の『端』で」

日時:2021年11月10日(水)
第一部 14:30-17:00 / 第二部 17:30-20:00 (入退室自由)

第一部 :
ポストトーク : ハラサオリ『Da Dad Dada』/ 武本拓也『山を見にきた』
登壇者:武本拓也、ハラサオリ 
ゲスト:大谷能生

第二部 : クロストーク : ハラサオリ×武本拓也 – 身体と上演、時代の『端』で
登壇者:武本拓也、ハラサオリ、小林勇輝、たくみちゃん、三野新

会場:ANB Tokyo 7階 or オンライン配信

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主催:PORT
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京【スタートアップ助成】

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